親子のゆっくり薬膳【みそ】
オヤコノの親子のためのコミュニティ「第2期おやこ農園@糸島」にて、先日「みそ」を仕込みました。いつも畑仕事の後にみんなでいただくみそ汁を、これから“おやこ農園みそ”でつくっていこうという計画です。みそ仕込みは案外シンプル、簡単♪ 親子でいっしょに楽しめるお仕事です。親子と親子で集ってつくれば、もっと楽しいし、もっとおいしくなる〜♫
今回は、みその仕込み方、おやこ農園のみそ仕込みの様子、みその薬膳的効能を紹介します。
オヤコノ ポニ🍙 ハピネス保育園給食員・国際中医薬膳管理師・二児の母
みその仕込みは「こ〜んくらいでいいよ〜」とおおらかに
【材料(仕上がり約3キロ分)】
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- 乾燥大豆 600g
- 麹 1300g
- 塩 130g
- 重し用の塩 1000g
- 消毒用の焼酎
【道具】
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- 大豆を煮る鍋(今回は3リットルの圧力鍋を使用)
- 大豆を潰すための大きなビニール袋
- 麹と塩を混ぜるボウルかたらい
- みそを熟成させる容器(蓋が閉じれるもの。今回は土瓶を使用)
- 大豆と煮汁を分けるときのザル、穴あきお玉
- 焼酎で土瓶を拭くためのキッチンペーパー
- 手拭きタオル
【作り方(今回のおやこ農園の場合)】
<前日>
乾燥大豆をたっぷりの水に浸けて一晩置く
<1>
水で戻した大豆を圧力鍋で20分ほど圧力をかける(今回は1.5リットルの鍋で2回に分けて煮ました)
<2>
大豆が指先で潰せるほどのやわらかさになったらザルに取り、大豆と煮汁に分ける。大豆は大きなビニール袋に入れる。ビニール袋の外側から大豆の粒がなくなるまで手で押しつぶす。大豆の水分が少なく潰しにくいようだったら、煮汁を少しずつ加えてつぶす。水分を足す目安は、普段食べているみそより少しゆるいくらいになるまで
<3>
大きなボウルかたらいに麹を入れ、両手ですり合わせるようにしてほぐす
<4>
麹に塩を加え、全体に麹と塩が馴染むようにすり合わせる(この状態を“塩切り麹”と呼びます)
<5>
潰した大豆と塩きり麹を合わせて、よくこねる。まんべんなく混ぜ合わさったら、小分けして野球ボール大の玉にまとめる(この玉を“みそ玉”と呼びます)。焼酎で拭いて消毒した土瓶の中にみそ玉を投げつけるように入れて、空気の隙間がないように手で押しつけながら平らにならす
<6>
土瓶にすべてのみそ玉を入れてならしたら上部に焼酎を振りかけ、全体に均等に圧が加わるように重しをする(今回は、ビニール袋に入れた塩を重しにしました)
<7>
蓋をして、冷暗所に置いて熟成させる
前日から”一晩水に浸けておく”というのが薬膳として大事なポイント。豆には五臓のうちの「腎」を助ける力があります。「腎」は成長のエネルギーの貯蔵庫。「腎」は水と同類の気を持ち、その気は夜に補充されます。夜に水に浸けることで、大豆の気が十分に生かされるというわけです。日中に浸水させる場合も蓋をして、大豆が膨らむのを静かに待ちます。
大豆を煮るときは大鍋で半日かけてじっくり煮たり、蒸したりするとより自然です。今回は時間の都合上、圧力鍋を使いました。
大豆と麹の割合でみその味が「甘め」「中辛」「辛め」と調整できます。農園で仕込んだのは小さな子どもたちが食べやすいように「甘め」です。分量を決めるときは、ネットで「みそ 仕込み 分量」とかで検索すると、みそ屋さんや料理好きな方々の投稿でいろいろと出てきます。つくりたい量を入力すると必要な材料の分量を出してくれる便利なサイトもありますよ〜。
「みそ」ってネットどころか計算機もない時代から仕込み続け、食べ続けられている加工食品です。昔の家庭では「大豆が片手一杯やったら、麹は両手一杯」みたいな感じで次の世代へ継がれていったんじゃないかな〜。だから、分量も1g単位までキッチリ!というより、「わが家はこ〜んくらい」で仕込んでOK! 例えば毎回キッチリ測っていたとしても、麹をスリスリしたのは誰の手か、どこで仕込んだか、いつ仕込んだか、どこでどれくらい熟成させたかで味わいが無限に変わるものです。「絶対こう!」がないのが伝統的な家庭の味のいいところ〜、やさしいところ〜。
みそは生き物ですからね。ぜひ、おおらかな気持ちで仕込んで、育ててあげてください〜。
親と子の笑顔がいっぱい詰まった「おやこ農園みそ」仕込みの様子
ほっと落ち着きたいときのみそ汁
よしっと元気を出したいときのみそ汁
■みその薬膳的効能■
・五味五性/甘鹹・平性
・帰経/脾
みその大切な効能は、食べ物の入口の臓である「脾(ひ)」の動きを助ける「健脾(けんぴ)」です。脾が健全に動くと、心身のモヤモヤ、ザワザワとしたものが整えられていきます。
外食が続いたとき、旅行から帰ったときなんかに、無性にみそ汁を食べたくなることはないですか? 私は二日酔いの朝にも食べたくなります。これは非日常が続いてくたびれた体が、「そろそろ落ち着きたいよ〜」と声をあげている状態といえます。「健脾」の力を持つ食材はたくさんありますが、弱っているときはやさしく、安心できる相手に助けてもらいたいもの。日本人にとって一番やさしく、一番安心できる味が、昔から食べ継がれている「みそ」なんですよねー。
朝の親子ごはんにも私はみそ汁をおすすめします。朝は日中よりも体がぼんやりしている状態。子どもは大人よりも内臓が未熟な状態。そう考えると、やっぱりみそ汁のやさしさが朝ごはんにはあっていると思うのです。
親子ごはんにみそ汁をすすめると、「子どもにみそ汁の塩分は大丈夫なんですか?」と聞かれることがあります。「野菜や豆腐をたっぷり入れたみそ汁なら、気にしなくて大丈夫っちゃな〜い」と答えていますが、実際はどうでしょう。ネットや栄養素の本を見ながら計算してみました。
1〜2歳児さんの1食における塩分摂取の目安は1g。小さじ1強のみそで、大体塩分1gです。
4人家族のわが家では毎朝次の分量でみそ汁をつくっています。
・出汁…700gくらい
・野菜、きのこ、海藻…150〜200gくらい
・豆腐…80〜100gくらい
・みそ…カレースプーンにこんもり1(35gくらい)
子どもの汁椀につぐのは、汁50g・具60gくらい。塩分量は0.5gです。
具に入れる野菜、海藻、大豆製品には塩分を排出するカリウムを含んでいるので、塩分量0.5gといっても塩を直接ペロッとなめるよりも体への影響はおだやかといえます。
みそには体の組織をつくって動かすタンパク質・炭水化物・脂質が含まれていて、発酵の作用でビタミンやアミノ酸が充実しています。塩分のとり過ぎを心配するあまり、そのほかのみそパワーを取り入れないなんてもったいない!
「今日もいい一日に〜」と元気なスタートを切りたい朝の親子ごはんには、やっぱりみそ汁をおすすめします😋